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SE:コンコン(扉ノック音)
「おーい。起きてるー?」
SE:ガチャ(扉が開く音)
「え? あー、はいはい。ごめんごめん」
「しかし、そんなに焦るってことは何か変なことしてたりしたんでしょ?」
「何の用って……ノリ悪いなぁ」
「いやぁ。なんか眠れないから、あんたも道連れにしてやろうと思って」
「なーに、その顔。何か言いたいことがあるなら言いなさいよ」
「ま、何と言おうとあんたに拒否権はないけど?」
SE:ギシッ、ゴソゴソ(ベッドの軋む音、布団の布擦れ音)
「ふふふ。あー、あったかい」
「それに、なんかいい匂いする……あんたのくせに生意気な……」
SE:バサッ(布団を剥ぐ)
「きゃっ! 何よ急に。布団取らないでよ。せっかく眠れそうだったのに……」
「あ。もしかして私が先に寝ちゃったら一人になるから寂しいんだ? ね? 図星でしょ」
「……黙秘権か。なら、こうだ! ふーっ(耳に息を吹きかける)」
SE:ギシッ、モゾモゾ(ベッドの軋み音、布団の布擦れの音)
「あっはは。ビックリした?」
「相変わらず耳弱いよね」
「『相変わらず』よ。あんた昔っから耳弱かったもん」
「覚えてない? ま、そりゃあんた小さかったし、仕方ないか」
「それに最近は色々とお忙しいみたいですし? 環境が変わってお友達も増えたから、姉との思い出なんて隅に追いやられて当然ですよねー」
「別にー? 怒ってなんていませんけどー?」
「……はぁ!? 誰が寂しいなんて言ったのよ!」
「まあ……そうね。少しは寂しいって思ってるわよ。でもそう思うのは普通じゃない?」
「昔はずっと一緒だったのに、今じゃ同じ家にいるのに滅多に会えないし……」
「あんたは? 寂しくないの?」
「なーにが、『ちょっとは』よ」
「でもその言葉、あんたから聞けて安心した」
SE:ゴソゴソ(布団の布擦れの音)
「ふふ。あー、たくさん喋ったから疲れたぁ」
「ね。このまま一緒に寝よ? 大丈夫。もう、ふーってしないから」
「その代わり、さ」
SE:ゴソゴソ(布団の布擦れの音)
「こうやって、ぎゅってしててもいい?」
「ありがと(はにかみながら)」
「はぁ……あんた、いつの間にかこんなおっきくなっちゃったんだ……私より体おっきいし……」
「っ、ふふ。そうだね。男の子だもんね」
「ごめんごめん。別にバカにしてるわけじゃないよ。ただ少し感傷的になってただけ」
「それにね……ちょっとだけ、ドキッとした」
「い、いや! ちょっとだけ! ちょっとだけなんだからね!」
「あーあ! これがあんたなんかじゃなくて、イケメンだったらなー!」
「……あんたって、ほんと鈍いわよね」
「そんなんで彼女できるのか、お姉さん心配」
「そうだ! 今度デートしよ、デート!」
「そうそう! 女の子のことを知るにはまずデートでしょ」
「厳密にはデート練習、だけど。どう?」
「じゃ、決まりね! 来週の日曜日は空けておきなさいよね。これは命令です」
「ふふ。よろしい」
「楽しみだなぁ…デート……(うとうとして)」
「んん……すぅ……すぅ……(寝息)」
(了)
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